COVID-19感染症の経過で
呼吸抑制が起こる可能性を示唆した論文


Jan.15 2021

 
 COVID-19感染症、SARS-CoV-2ウイルスによる感染症の厄介な病態に、突然病状が悪化するという病態があります。

 さらに後遺症についても、現時点で十分に把握されていません。

 このような状態になるウイルス感染症は今までほとんど存在していない印象です。
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   突然病状が悪化する一つの原因として、SARS-CoV-2がヒトに感染する際にSARSウイルスと同じACE2を受容体にしている点が重要になってきている印象です。

 ACE2はまだその生理作用が十分解明されておらず、今回のSARS-CoV-2がSARSウイルスに比べて10倍から20倍もACE2に対して親和性が高いため、感染する広がり方も強く、ヒトの臓器に広く分布しているACE2をターゲットに多彩な症状を呈するものと考えられています。

 以下の論文にそのヒントになる話が載っていました。
 タイトルは「SARS-CoV-2 Infectivity and Neurological Targets in the Brain」です。
Cellular and molecular neurobiology

 2020年の8月に公開されています。

 これによるとACE2は広く脳に分布しており、延髄等の呼吸中枢にも存在するため、ウイルスが直接呼吸中枢に作用して、呼吸状態が突然悪くなり、最悪の場合呼吸が停止してしまう可能性があるようです。

 ただし呼吸抑制に関しては、まだ確定した話ではありませんが、SARS-CoV-2の感染には予想以上に注意を払って、感染しないように努力するのがbetterだと思われます。



 下の図は論文からのものですが、
赤丸のmedulla oblongataというのが延髄のことです。脳の中でも延髄はACE2の発現が豊富なのが分かります。